群馬大医哲ウェブサイト

服部健司


服部 健司 (はっとりけんじ)

                         学歴・職歴は こちら

                         研究などの業績は こちら


 1959年、東京生まれ。父は元・会社員、母は元・助産師。

 この研究室の主任をしています。もう5年になります。ここに来るまえは、

週の半分ほど健診機関に勤め、残りはぷらぷらして過ごしていました。医学

生時代、文芸部の顧問でもいらした岡田雅勝先生の研究室に入りびたっ

ていたのが、今日のぼくの生きかたの基礎です。先生に一緒に読んでいた

だいた最初の哲学書は、ウィトゲンシュタインの『色についての覚書』、3年

生のときのことです。数すくないけどいい仲間に出会えたことも大きいです。

その仲間たちが今も、まるで親戚やきょうだいのようにこの研究室に頻ぴん

と出入りしてくれて、学生や院生の面倒をよくみてくれています。おかげで

ぼくはお山の大将にならずにいられています。所属や専門なんて、どうでも

いいじゃありませんか。あくまで自由に、ラヂカルに、考え、語り合える、刺

激的な場をひらいていきたいと願っています。このホームページをご覧にな

って、ふらりと研究室に遊びにいらしていただけたら、これはもうサイコーで

すね。

                    

                                    撮影/平山氏


  ここの研究室の柱は、医学哲学・医学倫理学です。が、教養教育では、

哲学・倫理学の授業も担当しています。それに、哲学や倫理学そのものの

修練をへずに医療倫理の問題に直接切りこんでも大したことはできないの

ではないかと考えています。ですから、哲学・倫理学の勉強と、その応用部

門としての医学哲学・倫理学の研究とを平行してすすめていきたいと思って

います。また、医療倫理の問題を考えるためには、文学的センスをみがく

ことが必要だと思います。それと、もうひとつ。医療倫理は、医療者だけが

考えればすむ問題ではないでしょう。今日、医療と無関係でいられる人はい

ません。医療は、みんなのものです。そして、医療倫理はみんなの問題で

す。たとえば、わたしたちは医療や医療者に何をどこまで求めてよいのでし

ょうか。医療というある種特殊な状況下で、わたしたち自身の生のあり方そ

のものが思いもよらぬほど先鋭なしかたで問われているようにも思います。

ハデな問題よりも、日常の医療や生活、社会に当たり前のようにはりつい

ていてかえってそれと気づかれにくい、一見地味な倫理問題、そしてその基

層にある人間の問題に取り組んでいきたいです。とはいえ、なにぶん小さな

研究室。しかも最近、老化のきざしが。あんまり大風呂敷を広げずに、身の丈

ほどのことをやっていくしかありません。どうぞよろしく。  (2004年)